ミャンマー 国民投票１０日強行か 死者１万人 援助受け入れ表明

ミャンマー　国民投票１０日強行か　死者１万人　援助受け入れ表明

　【バンコク＝林浩樹】「国際社会の援助を歓迎する」。五日夜の国営テレビでミャンマーのニャン・ウィン外相は、大型サイクロンによる死者が一万人を超えたとしたうえで、初めて国際援助の受け入れを表明した。しかし、新憲法の是非を問う国民投票の延期には触れず、被害がさらに広がる見通しのなか、軍政が投票を強行すれば、国内外から批判が高まるのは必至だ。

　五日付の国営紙で軍政は「国民投票は国民が熱望している」と、予定通り十日の実施を強調した。さらに今月二日、国連安全保障理事会が国民投票に向けて軍政に民主化の進展を促す議長声明を採択したことに「国内の問題だ」と非難した。

　国民投票で圧倒的な新憲法承認を目指す軍政は、公務員に解雇を迫るなどして賛成票を強制。国際監視団の受け入れや海外メディアの取材も拒否し、投票が公正に実施されるか疑わしい状況だ。

　同時に軍政は民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん率いる最大野党・国民民主連盟の反対運動を徹底弾圧する一方、スー・チーさんの投票を認め、国際社会の批判をかわそうとしている。

　ライフラインが寸断されたままの最大都市ヤンゴンでは、既に援助や復旧の遅れに対する国民の不満が噴出している。ミャンマー外務省は五日、国連や在ヤンゴン大使館関係者と国際支援活動について協議を開始。ロイター通信によると、世界食糧計画（ＷＦＰ）の担当者に対し緊急援助の受け入れを伝えた。

　今回のサイクロン被害では、暴風雨に加え高波も直撃して多くの犠牲者を出した。国民の窮状を無視する形で軍政が新憲法承認に進めば、政情が再び緊迫する可能性もある。

東京新聞 - 2008年5月6日


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