ＮＯＶＡ破産も、負債439億円30万人救えず

ＮＯＶＡ破産も、負債439億円30万人救えず


　英会話学校最大手ＮＯＶＡは２６日、会社更生法の適用を大阪地裁に申請し、同地裁は財産の保全管理命令を出した。全国約６７０教室は一時休講する。３０万人余りの受講生については「規模が大き過ぎて、全員の救済は不可能」との声が上がっている。ＮＯＶＡはイオン、丸井、楽天、ヤフーの４社を支援企業候補に挙げているが、１カ月以内に支援企業が決まらなければ破産手続きに入る。保全管理人は「戦後最大の数の債権者が出る未曽有の事件」としている。

　会見した保全管理人の東畠敏明、高橋典明両弁護士は、ＮＯＶＡの資金が枯渇しているため、支援企業を探す期間は長くても１カ月とし、見つからなければ破産手続きを取ることになるとの認識を示した。この段階での更生法申請は「もっと早い段階ならより有利な条件で（交渉）できた」と述べ、猿橋望前社長（５６）らの対応を批判した。

　裁判所が財産の保全管理命令を出し、債務の支払いが禁止されているため、受講生は解約や受講料の返還請求はできない。これまでもＮＯＶＡでは解約希望が相次いでいるが、現金支払いの場合、解約金は一般債権として扱われるため、ほとんど返還されない可能性が高い。信販会社に分割払いしている場合、支払い抗弁書を送れば信販会社への支払いを止めることができるという。

　経済産業省は、信販会社に休講中は受講生に対し受講料を請求しないよう異例の要請を行う一方、受講生の引き受けを英会話学校の業界団体に要請した。過去に破たんした英会話学校は、経営再建できなければ、ほかの学校に引き継がれたケースが多いが、「イーオン」など６６社が加盟する「全国外国語教育振興協会」は「ＮＯＶＡはあまりにも規模が大きく、協会加盟社の生徒総数（約２０万人）を上回る。すべて受け入れるのは不可能」と指摘する。

　不安、混乱は広がっている。子供向けの「ＮＯＶＡＫＩＤＳ」に娘（４）を通わせていた堺市の主婦は「レッスン料を１年分先払いした。返してもらえるのか。社長が出てこないのはひきょう」。娘に、「ＮＯＶＡうさぎちゃんがお金を持って逃げちゃった」と説明すると、寂しそうだったという。ＮＯＶＡに外国語指導助手（ＡＬＴ）派遣を委託する全国の小中学校では、授業中止のトラブルが相次いでいる。

　負債総額は約４３９億円（７月末）。ＮＯＶＡは支援企業の選定を急ぐが、元受講生らに対する未払いの返戻金は６００億～７００億円と想定され、未払い給料なども４０億円近くになるという。果たして支援企業が現れるか、予断を許さない状況だ。

日刊スポーツ ［2007年10月27日8時32分　紙面から］


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