ヒラリー氏に同情票？ 泣いて勝った

ヒラリー氏に同情票？　泣いて勝った

　米大統領選の序盤２戦目となったニューハンプシャー州予備選は８日夜（日本時間９日午前）、投開票され、民主党は開票率９６％の段階で、ヒラリー・クリントン上院議員（６０）が３９％を獲得、初戦アイオワ州を制したバラク・オバマ上院議員（４６）を２％上回り激戦を制した。投票前日の集会で見せた涙を同情票につなげ、盛り返した。決着は２２州で予備選が行われる２月５日の「メガチューズデー」までもつれ込む情勢だ。共和党はジョン・マケイン上院議員（７１）が３７％を得票して勝利した。

　初の女性大統領を目指すクリントン氏が“女の涙”でがけっぷちから復活した。興奮する支持者で埋まる会場でクリントン氏は「ニューハンプシャーが私に与えてくれたように米国を復活させよう」と大きく両目を見開いて力強く右手を突き上げ、勝利を宣言した。

　ニューハンプシャー州予備選開票直前まで、黒人で初めての大統領を狙うオバマ氏の勢いが勝っている観測が流れた。３日のアイオワ州予備選で「希望」「変革」を訴えて２０～３０代の心をわしづかみにして勝利したオバマ氏の快進撃は止まらないかに見えた。

　しかし、投開票前日７日の集会で、支持者から厳しい選局について「時間のかかる髪のセットはどうしているの？」と同情含みの質問を受けたクリントン氏は硬い表情のまま、みるみる瞳をうるませた。落涙こそしなかったが、声を詰まらせて「簡単ではないけど、自分を信じていないとダメ」と気丈に答えた。米メディアの中には「米最高指導者を目指す候補が涙をみせるとは残念」との批評もあったが、普段感情を殺して「鉄の女」の異名を持つクリントン氏の涙に同情票が集中した可能性もある。

　形勢を逆転したクリントン陣営を支えたのは女性大統領の実現を待望する女性やオバマ氏の政治経験の浅さに不安感を持つ高齢層。さらにクリントン氏は「変革」を強調するオバマ氏の主張を引き合いに「仮に『変革』を実現するなら、豊かな経験が必要」と巧みな演説力で票を積み上げた。

　一方のオバマ氏は「クリントン氏を祝福する」と支持者の前で演説し、素直に敗北を認めたが「数週間前、我々がここまでやれると誰が思った？　確実に変革の波が起きつつある。私が大統領になったらイラクでの戦争を終え、兵士を引き揚げる」と気持ちを切り替えた。

　今後、１５日のミシガン州、１９日ネバダ州、２６日サウスカロライナ州、２９日フロリダ州の各予備選をへて、２月５日のメガチューズデーまで熱い選挙戦が繰り広げられそうだ。

日刊スポーツ - 2008年1月10日

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